HASTIC令和5年度 事業報告

HASTIC会員の皆様へ

令和5年度のHASTIC事業報告をさせて頂きます。

令和5年度 事業報告

事業実施の概要

当センター(HASTIC)は2002年「道内の宇宙開発の研究資源をネットワーク化することにより北海道に「航空宇宙ビジネスの拠点の形成」をめざして設立、翌2003年(平成15年)2月には「特定非営利法人」に移行し、設立から早いもので22年目を迎えました。
2014年(平成26年)には国の宇宙の政策に相応するため、経済界の協力を仰ぎ北海道スペースポート研究会を設立、その後、2021年設立の企画会社を経て2022年4月SPACE COTAN(株)の設立に至りました。この過程で、インターステラテクノロジズ(IST社)が観測ロケット(MOMO)を宇宙領域に到達させ北海道が我が国の新たな宇宙モビリティ拠点としての可能性がより一層深まりました。現在IST社はJAXAや室蘭工大と連携協定を結び、キャンパス内に研究拠点を設け、その他の民間企業も参加し軌道投入ロケット(ZERO)の開発を加速させているところであります。
また同大学は大樹町内にサテライトオフィスを開設し、当センターがWGで側面支援しているPt小型超音速無人機の各種基礎研究も行っております。
国(文部科学省)は今年度、宇宙分野のスタートアップ企業のロケットやサブオービタル飛行実験等の研究開発を支援するため新たに「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」を公示し、フィーズ1に大樹町を実験拠点とすると思われる3件が採択され、今年度から始めた滑走路の延長やL1射場の施設整備を進めており、より一層「航空宇宙ビジネス拠点の形成」と「スペースポート(HOSPO)」としての道筋と役割が見えてきた年度と言えます。
2022年5月、HASTICが8年間事務局を担った北海道スペースポート研究会は解散し、今年度から本来の目的である大学の宇宙分野の研究開発から事業化、人材育成等、いわゆるスタートアップ企業を生み出すことで北海道やわが国、そしてアジアに貢献するための活動を行っています。
既に北海道大学から衛星系でリモートセンシングを、推進系でも複数のスタートアップ企業が設立されて既に事業活動をしております。
この動向に相応し8月申請した国(経済産業省)所管の「地域オープンイノベーション拠点選抜制度(国際展開型)に9月北大宇宙ミッションセンターが採択されました。今後、室蘭工業大学、北海道科学大学の他、各大学等とも連携して行きます。また衛星分野では3月に東北大学と北海道大学が連携協定を結び宇宙バレー構想前進の第一歩を歩みだしました。    
今年度JAXAがLTP推進薬を使用したロケットを事業化するためロケットリンクテクノロジー㈱を設立し、3月には連携している植松電機(株)協力のもと3回目の打ち上げを成功しました。
また、当事務局が委託事業として預かる微小重力実験塔「コスモトーレ(植松電機)」の利用は、JAXAの衛星や惑星探査計画に係るものが多いのに加え、大学教育の宇宙教育プログラムの一環として無重力下における動態確認や民間企業等の新しい分野も増え、今年度も148回の利用となりました。これは日本マイクログラビティ応用学会HPへのバナー広告や当会HPとの連携を図った結果利用が増えたと判断されます。
今年度もJAXAや大学の研究者、企業の方々との連携が進み、地域産業に結び付きが進んだ年度と言えます。


I.会議
1.理事会
令和4年度案件理事会は令和5月25日に開催、理事総数19名に対し出席7名、委任12名よる年次総会議案の内容を審議し、令和4年度事業・決算報告、令和5年度事業計画・収支予算案の承認を受けた。

2.総会
令和5年度 会員総会は5月25日会場;ホテル マイスティ札幌アスペンで開催され、令和4年度事業・決算報告、令和5年度事業計画・収支予算案の審議を会員総数62の内、賛成19、委43、合計62となり全会一致で承認を受けた。

3.経営企画委員会
     新型コロナ感染症拡大防止策として第213回から223回まで開催した。
R5・4月20日、5月25日、6月22日、7月26日、9月7日、10月11日
11月22日・12月25日、R6・1月15日、2月20日、3月19日 計11回

主として各月の事業報告や関係諸官庁、自民党政務調査会の活動、ニュースペース研究会・国際戦略研究所(NGSL)、日本安全保障研究所(JISS)、日本航空宇宙工業会(SJAC)、JAXAほか宇宙関連の動向を報告し情報の共有を図った。

II.事業
1.講演会・セミナー事業
HASTIC学術技術講演会 Online(ZOOM)開催           R6・3月13日~14日
共同開催 日本機械学会北海道支部
     日本航空宇宙学会北部支部
     日本マイクログラビティ応用学会
    
    ■特別講演 日本航空宇宙学会 座長 永田晴紀(北海道大学)           
    「有人高高度気球の発明」岩谷技研㈱ 代表取締役CEO 岩谷圭介
           
    ■学術講演会 座長 金野 佑亮(北海道大学) B会場      R6・3月13日

【講演】
⓵微小重力下における皮膜誘導の過電流着火に及ぼす周囲空間直径の影響
○八鍬涼太、金野佑亮、金城亮、GuoFeng、GiangWang、橋本 望、
藤田 修(北海道大学大学院)
⓶ISS放出CubeSat(HMU-SAT2)の開発
○芳賀和輝(北海道科学大学)、大倉正治((有))工房大倉)、鷹尾伸一((株)縁舞)竹内佑介((株)IDDK)、北田義孝、三橋龍一(北海道科学大学)
⓷太陽光推進長期滑空成層圏プラットホーム再考
○岩田拡也(産業技術総合研究所)、納本 淳、恩田昌彦((合)ときわ)
⓸宇宙機用推薬タンクを対象とした微小重力下スロッシング挙動に関する研究(軸方向加振による動的流体挙動)
○今井良二、道原孟里(室蘭工業大学)

⓹酸化剤として過酸化水素水を用いたCAMUI型ハイブリットロケットの燃焼特性について
○桜井 光、小野玄太、金城亮太(北海道大学)、信原佑樹((株)Letara)
江澤悠太、脇田督司、永田晴紀(北海道大学)
⓺プリント基板の下方燃え広がり現象に及ぼす試料幅と保持条件の影響
      ○内垣雄介、金野佑亮、橋本望、藤田修(北海道大学)
     
2.地域活動推進事業
  ・スペースプローブ競技会共催(植松電機敷地内)        R5・9月16日(土)
      参加者が自作した探査機を小型ロケットにから上空で放出し、着地までの間の技術課題・ターゲットまでの着地精度を競う競技会であります。
大学・高校・チーム6件が参加、ZOOMを用いて対話を行いながら進行し、見学者はYoutubeを通して見学する方法で実施した。
   最優秀賞(植松電機賞) リーマンサットプロジェクトチーム      
   優秀賞(HASTIC賞)   夢工房・尾形本家      
・第37回ビジネスEXPO アクセス札幌 実行委員会            R5・11月9日~10日
   ・「北海道宇宙サミット2023」於;帯広市開催          R5・10月11日~12日
・広報活動
ホームページ(HP)を活用し組織体制や活動内容を開示し、情報のコーナーでは航空宇宙に関わるセミナーや研究会のイベント情報を掲載

3.研究開発事業
⓵ワーキング・グループ(WG)活動
 WGの研究活動は、会員研究者が獲得した研究費で行われている研究対象の6つのWG の活動状況は以下の通り。

・「宇宙環境利用研究WG」(代表・藤田修 北大教授)
・「小型ロケットWG」(代表・永田晴紀 北大教授)
・「衛星リモートセンシングWG 」(代表・高橋 幸弘 北大教授) 
・「小型無人超音速機研究開発ほかWG」(代表・内海政春 室工大教授)  
・「固体ロケットWG」(代表・秋葉鐐二郎 HASTIC会長)
   ・「超小型衛星の開発」(代表・三橋 龍一)

WG推進事業の実施
今年度は下記4件の採択実施
・「超小型衛星(HMU-SAT2)EMモデル製作に必要な部品購入
(北海道科学大学 三橋龍一)
・「Balloon Kiteの安全性向上に関する実験的研究」    
(北海道科学大学・平元理峰)
・「低融点固体推進剤ロケットの研究開発」
          (北大 永田晴紀・植松電機 安達直人)
・「低融点推進剤のモデルロケットエンジンの適用」    
(北大・永田晴紀・植松電機 安達直人)
⓶中央要望活動
 関係各省庁(内閣府・経産省・文科省・国土交通省)JAXA等関係機関、関係国会
議員向けの要望書作成 

⓷無重力落下実験サービス
 赤平市の㈱植松電機内にある50m級落下施設「コスモトーレ」で3秒間の微小重力実験のサービスを委   託事業として行っており、本年度の落下回数は計148回であった

    
4. その他・情報収集・推進活動
   ⓵ 自民党政務調査会(東京)
   ・宇宙・海洋開発特別委員会・宇宙総合戦略小委員会合同会議
R5・10月11日
    JISS 片岡副理事長講演「第7次提言に向けて安全保障の方向性」について                                                                                                                                                           
   
   ⓶ ニュースペース研究会・国際戦略研究所(NGSL・東京・主としてSNS参加)
   ・第3期 定例社員総会   R5・6月3日
    第1期事業報告
    第1期決算報告および第2期事業計画および収支予算
   ・第40回 「宇宙×地方創生(その1)      R5・4月26日    
   ・第41回 「宇宙開発利用の新潮流と宇宙ビジネスの将来」      R5・5月31日                               
   ・第42回 「SAR衛星データの民間利活用の広がり 」           R5・6月30日
      Space BD・NEC・アクセルスペースの事業紹介 
   ・第43回 「宇宙×GEOINT特集」                    R5・7月31日
   ・第44回 「宇宙政策特集」について       R5・8月23日
   「新たな宇宙基本計画と宇宙安保構想について」   
   ・第45回 「宇宙移住のための三つのコアコンセプト」ほか      R5・9月29日
   ・第46回 「宇宙×地方創生(その2)                 R5・10月27日 
         いばらぎ・和歌山・山口各県の取り組み     
   ・第47回 「経済産業省における宇宙産業政策について」        R5・11月24日                               
   ・第48回 「民間主導の将来宇宙輸送システムの実現、
         スタートアップ支援等に関する文部科学省の取り組み状況」
                                      R5・12月22日
   ・第49回 「宇宙建設革新プロジェクトにおける取組について」      R6・1月24日                
   ・第50回 「スペースカルチャーBZWの活動紹介」              R6・2月21日 
         「デブリWGの活動紹介」            
   ・第51回 「有人宇宙飛行特集」                     R6・3月29日                     
        「将来宇宙輸送システム実現に向けた挑戦」

   ⓷ 日本安全保障研究所(JISS)
    臨時社員(書面)総会                       R5・3月19日 
        
   ⓸ 日本航空宇宙工業会  
      スペースポリシー委員会                      R5・2月2日
         上杉理事長参加    
                       
   ⓹ 北海道宇宙関連ビジネス創出連携会議     (主催;北海道)
     ・幹事会 (SNS)                 R5・12月7日
     ・連携会議 宇宙産業参入まるわかりセミナー室蘭          R5・12月18日          
      宇宙産業セミナー 室蘭                      R6・3月 11日
   ⓺宇宙産業ビジョン実現に向けたプロジェクトチーム(アクションプラン)
       第7回 京王プラザH                       R5・6月28日
       第8回 京王プラザH                       R5・9月28日 
   ⓻一社)おおいたスペースフィーチャーセンター(OSFC)賛助会員
      第24回フィーチャーセッション                   R5・4月21日
      第25回フィーチャーセッション                   R5・5月26日
      第26回フィーチャーセッション                   R5・7月27日
      第27回フィーチャーセッション                   R5・8月25日
      第28回フィーチャーセッション                   R6・3月8日         
   ⓼その他