HASTICニュースレター 162号

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HASTICニュースレター
第162号 2017年2月9日
北海道宇宙科学技術創成センター
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-今月の目次-
☆ ご報告:スペースプローブコンテスト
☆ ご報告:経営企画委員会
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○ スペースプローブコンテスト ○

空き缶などで作った「宇宙探査機」を小型ロケットで上空に放出
し、様々な技術課題に挑戦する「2017スペースプローブ(宇宙探
査機)コンテスト」(主催・植松電機、HASTIC・共催)が9月30日、
赤平市の植松電機で開かれた。探査機を惑星に着陸させることを
想定した「プローブ部門」には道内の高校4チームに加えて2人の
社会人が初参加、新設された「ロケット部門」にも中学生と高校
生5人が挑戦するなど幅広い参加者が「宇宙へのミッション」に
取り組んだ。

競技会の柱である「プローブ部門」は、小型のカムイロケットか
ら上空百メートルで放出された探査機を規定時間内にできるだけ
近く目的地に着地させる課題と、上空でのデータ採取など独自に
定めた工学・科学ミッションの達成度を競い合う。また、今大会
から設けられた「ロケット部門」はペーパークラフトのモデルロ
ケットを同じ燃料(エンジン)で飛ばし、機体の体積と目標高度
40メートルへの到達度を競うコンテストとして設定された。

「プローブ部門」には札幌東、琴似工業、立命館慶祥、富良野緑
峰の高校生チームと、札幌のIT企業と植松電機の電磁石部門の社
員2人が社会人として初めて参加した。探査装置の大きさは外径
15センチメートル、全長34センチメートル、総重量1キログラム
までで、探査機を地上の目標地点にできるだけ近く着地させる制
御技術と、空中での高度測定や映像撮影など参加チームが独自に
設定した技術課題の達成度によって競われた。

今回の参加チームが設定した技術課題は「探査機を着地させるた
めのパラフォイールの飛行制御」(琴似工業)「GPSを活用した
探査機の位置の確認」(富良野緑峰)「パラシュートと小型ドロー
ン併用による遠隔制御」(立命館慶祥)などで、社会人で札幌の
岩井竜哉さんは「探査機に内蔵したプロペラと舵による着地制御」、
赤平の草野秀樹さんは「赤外線センサーでパラシュートを開かさ
せることによる正確な着地の実現」を目指した。

正午前に行われた「プローブ部門」では、探査機を目標地点から
約9メートルに着地させたほか、課題の達成度が平均的に高かっ
た琴似工業が最優秀賞を獲得、探査機の着地が目標から7.4メー
トルと最も近かった草野さんに金賞、残るチームに銀賞が贈られ
た。

「プローブ部門」の入門編として創設された「ロケット部門」に
は、高さ40−80センチメートルの紙製ロケット5機が参加、正午
過ぎにモデルロケット用の推進薬を使って次々と発射されたが、
機体の体積が3, 400立方センチメートルと最も大きなロケットを
高度46メートルにまで飛ばした琴似工業1年生の樋郡翔一郎君が
初代のチャンピオンに輝いた。

今回の競技会について審査員も務めた植松努社長は「参加者の枠
が社会人から中学生にまで参加者が広がったのが大きな成果。今
後は企業などにも参加してもらい、学生と企業の接点となるよう
な競技会にしてゆきたい」とコメント。社会人として初めて参加
した岩井さんは「実験では、自宅近くの公園の立木から装置を落
下させるなど苦労の連続だったが、やってみなければ何も始まら
ない。来年もぜひ参加したい」と話していた。

○ 経営企画委員会報告 ○

平成29年10月12日(木)14:00より、HASTIC事務所において第153
回経営企画会議が開催された。議事の概要を以下に報告する。

1.事務局報告
CAMUI型ハイブリッドロケットのペーパークラフトを1/4スケール
で新たに1500セット製作した。今後のイベントで活用していきた
い。今回のモデルは型紙がA4サイズなので持ち運びし易い。エア
ロスペースジャパン2018への出展申し込みを完了した。HASTIC、
十勝圏、大樹町、スペースポート研究会の4者合同で出展の予定。
注:エアロスペースジャパンは4年毎に東京ビッグサイトで開催
されており、次回は2020年に開催の予定であったが、東京オリン
ピックと重なって会場が使用出来なくなるため、開催が2年前倒
しされて2018年となった。

2.北海道スペースポート関連
全体的には大きな動きは無い。スペースポートの事業主体がどこ
になるのかが最大の課題となっているが、どの方式がよいか、検

討を続けることになる。10/3に経団連と道経連の懇談会がグラン

ドホテルで開催された。

増田道経連副会長から、航空宇宙関連の取り組みが紹介された。
大樹町は抗たん性の見地からも重要との指摘があった。Society
5.0を推進していくには航空宇宙は外せないとの意見もあった。
終了後、懇談会があった。高橋知事の挨拶の冒頭で、航空宇宙の
取り組みの紹介と、道庁としても前向きに取り組んでいるとの発
言があった。十勝期成会で、来年の1月中旬、最初の事業を帯広
児童会館で実施する予定。子供たちを対象とする。積み立ててい
る事業費では足りないため、協賛金を呼び掛けている。

3.ビジネスEXPO
11/9(木)-10(金)にアクセス札幌で開催される。会場の中央
付近で、3ブースの展示を予定している。A1サイズで16枚のパネ
ルを展示可能。テーブルを8本置く予定。今回は、スペースポー
トの認知が進んだのを受けて、利用価値に重点を置きたいという
意向から、GPS関連(無人トラクタ、農地観測等)の出展を予定
している。

4.アグリテック・グランプリ
(株)リバネスが実施する企業コンペティションで、9/23(土)
に吉野家HD本社で開催された。北大の高橋幸弘教授らが立ち上げ
たポーラスタースペース(株)が最優秀賞を受賞した。

5.衛星データ利用研究会
9/28(木)に道庁本庁舎で実施され、100人以上の参加を得て盛
況であった。次回は11月下旬(21日を想定)に実施予定とのこと。

6.スペースプローブ競技会
9/30(土)に赤平市の(株)植松電機で、プローブ部門とロケッ
ト部門の2部門形式で開催された。参加者を高校生に限定せず、
一般の参加も歓迎している。プローブ部門は4校+一般2名の6チー
ム、ロケット部門には15名が参加した。

7.NoMaps宇宙カンファレンス
10/12(木)と13(金)の二日間で開催される。道新ホールでは
宇宙をテーマにしたカンファレンスが予定されている。

8.WG報告
・宇宙環境利用WG:
微小重力実験塔コスモトーレは既に83件の利用申し込みが来てい
ること等が書面で報告された。

・ハイブリッドロケットWG:
JAXA大学利用連携拠点に採択された事業である超小型深宇宙探査
機用キックモータの開発については、まだJAXAとの契約締結の目
途が立っていない。

長秒時燃焼が可能な推力5 tonf級CAMUI型モータの開発を新たに
始めており、今年度中に推力200 kgf級のサブスケールモータで
10回程度の燃焼実験を実施する予定である。

スペースプローブコンテストでは、プローブ部門は立命館慶祥、
琴似工業、札幌東、富良野緑峰、一般参加2名。ロケット部門は
立命館慶祥、琴似工業、札幌東、滝川から、合計15名が参加した。
プローブ部門では琴似工業が最優秀賞となった。金賞は草野秀樹
氏(植松電機社員)、その他は銀賞となった。

・超小型衛星WG:
UNISEC関連のイベントへの参加がいくつか予定されている。
スマート農業への利用研究に関して説明があった。京都で開催さ
れた国際フォーラムで、オープニングスピーチの安倍総理から、
無人トラクタのPRが大々的にあったとのこと。11/1(水)には斎
藤農水大臣一行に視察頂いた。11/6(月)には公明党国会議員団
の視察が予定されている。

・小型無人超音速機WG:
ハイブリッドロケットを8機クラスタにして高速軌道での運用を
計画しており、実施に備えて騒音特性を取得中。
回転デトネーションエンジンの走行試験を白老で実施予定。

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発行人 北海道宇宙科学技術創成センター理事長 上杉 邦憲
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