CAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケットの開発

●研究開発の内容
低価格、安全、小型で環境負荷が小さい小型ハイブリッドロケットを開発する。固液ハイブリッド燃焼により機体を再使用可能とし、従来の小型固体ロケットに比較して打上げ単価を1/10以下に引き下げる。

開発項目 推力400kg 級フライトモデルエンジン
推力1ton 級エンジニアリングモデルエンジン
用  途 3分間の微小重力実験(1ton級),成層圏全域に渡るオゾン層観測および高層大気サンプリング(400kg級)、超小型衛星および衛星部品の作動確認試験(400kg級、1ton級)等。従来は小型固体ロケットが使用されている市場。

●ハイブリッドロケットとは?
ハイブリッドロケット

推進剤に固体燃料(プラスチック等)と液体酸化剤の組合せを用いたロケットエンジン
推進剤に火薬類を使用せず、安全
推進剤が極めて安価・火薬類ではないため、運用・管理コストを大幅に削減可能
機体の再使用化により、打上げコストの削減も可能
固体燃料の燃焼速度が小さく、低推力であるため、小型高推力化が困難で、未だ実用化されず


●CAMUI型ハイブリッドロケットエンジン

CAMUI型ハイブリッドロケットエンジン

燃焼ガスが固体燃料表面への衝突を順次繰り返すように燃料形状に工夫を加えた新しい燃焼方式、CAMUI(Cascaded Multistage Impinging-jet、縦列多段衝突噴流)方式を発案、固体ロケット並の小型高推力化に成功。


固体ロケット
CAMUI型ロケット
従来型ハイブリッドロケット


●CAMUI型ハイブリッドロケットエンジン実証機
CAMUI型ハイブリッドロケットエンジン実証機

推進剤としてアクリルと液体酸素を使用
内径50mm の燃焼室で推力50kg を発生・固体ロケット並の推力レベルを実現
基本技術は既に完成。今後は大型化に伴う検証実験を実施
2002年3月、2003年1月の2回続けて打上げ試験に成功し、基礎技術は完成。

打ち上げ試験の様子はこちら
 
CAMUI型ロケット 打ち上げの様子
打上げに成功したCAMUI型ロケット 打ち上げの様子

機体の設計にあたっては、都立科学技術大学、湯浅研究室のロケットの機体形状を参考にさせて頂きました。また、打上げ実施にあたっては、湯浅先生並びに同研究室の皆様から多くのご協力を頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。有難うございました。

●有翼打上げ・滑空・旋回・回収試験
CAMUI有翼機体CAMUI-Winged
打上げの様子

<実験の概要>
推力50 kgf 級CAMUI ロケットにデルタ翼(翼幅 1,000 mm、翼長 1,280 mm)を取付ける。50°の角度で射出された機体は、水平飛行に移行後、180°旋回し、射点の左前方雪原に着陸。
初期全備重量 16.5 kg、回収重量 15.3 kg
デルタ翼にはエレボンが取り付けられ、地上から無線で操縦。
気圧計および加速度センサにより、高度履歴と飛行履歴を取得。

< 実験結果>
高度220 mに到達後、水平飛行に移行し、旋回を開始。滑空速度はほぼ140 km/hで一定であり、終端速度に達していた。
アクリル製の尾翼が割れた以外は、ほぼ無傷で回収に成功。搭載カメラによる映像取得にも成功。
機体重量(15.3 kg)は気象観測機クラスの回収重量(18.7 kg)にほぼ等しく、終端速度からの全機回収に成功したことから、成層圏からの有翼滑空回収が可能であることを実証。

有翼打上げ試験の様子はこちら
機体搭載カメラからの映像はこちら
 

●実用化に向けてクリアすべき課題
基本技術は既に完成.今後は大型化に伴う検証実験を実施
燃焼室内径は、推力400kg級、1ton級でそれぞれ140mm、220mm。それぞれのサイズにおいて燃料ブロック長さおよび個数を最適化する
機体を狙った位置に落下させるためのアビオニクス(航法電子機器)の開発は、超小型衛星のノウハウを生かし、北海道工業大学および(有)アイドマが担当
機体の飛行経路解析、空力設計、および空力特性の同定は室蘭工業大学が担当

●事業化計画
推力400kg級CAMUI型ロケットにより、年間1億円の成層圏観測ロケット市場を創出
推力1ton級のCAMUI型ロケットにより、分単位の微小重力実験用ロケット市場を創出。バイオ関連研究を中心に数年以内に年間100億円以上(国内のみ、宇宙実験を含む)の市場が見込まれる微小重力実験市場の10%確保を目指す

●北海道における産業波及効果
本プロジェクトのロケット製造においては、その飛翔体製作、制御系部品製作、固体燃料成型全て道内生産可能
ロケット産業に北海道が新規参入する手段としてはハイブリッドロケット以外に選択肢は無く、固体ロケットに比肩するCAMUI型ロケットは北海道宇宙産業の起爆剤として最適
周辺まで含めれば数百人規模の宇宙関連産業が北海道に誕生。一大宇宙産業拠点として北海道が発展していく起爆剤となる
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北海道大学 大学院工学研究科機械科学専攻
宇宙環境工学講座 宇宙環境システム工学分野
永田晴紀 nagata@eng.hokudai.ac.jp